オフィスや店舗を移転する際、最後に立ちはだかる大きな壁が「原状回復工事」。聞いたことはあっても、実際にどんな工事が必要なのか、費用はどれくらいかかるのか、不安なことも多いですよね。
この記事では、オフィス退去時に欠かせない原状回復工事について、基礎知識から費用相場、トラブルを防ぐためのポイント、そして費用を賢く抑えるためのコツまで、わかりやすく解説します。
原状回復工事とは?その基本を知ろう
原状回復とは、簡単に言えば「借りた当初の状態に戻すこと」。オフィスや店舗として使ってきた空間を、次の入居者がすぐ使えるように整えて返す、というのが基本ルールです。
ただし注意したいのは、住居のように「自然劣化は借主の責任外」とされるケースとは異なり、オフィスの場合は、契約内容次第で負担範囲が大きく異なるということ。壁の穴や床の汚れ、照明の取り外しに至るまで、どこまで直す必要があるかは、入居時の契約書にしっかり明記されているのです。
原状回復・現状回復・原状復帰の違い、説明できますか?
意外と混同しがちなのが、この3つの言葉。
- 原状回復:契約時点の状態に戻すこと(法律用語として最も使われる)
- 現状回復:現在の状態に戻す、という意味だが、実務ではほぼ使われない
- 原状復帰:原状回復と意味は同じだが、建設業界で使われがち
契約書には「原状回復」が記載されていることが多いので、まずはこの言葉を正しく理解しておきましょう。
知っておくべき「工事区分」の話|A工事・B工事・C工事
原状回復工事には、「A工事・B工事・C工事」という3つの分類があります。それぞれの特徴を簡単にまとめると以下のとおりです。
- A工事:建物の共有部に関わる工事(例:エレベーター、外壁)。発注・費用ともにオーナー負担。
- B工事:専有部でありながら建物全体に関わる工事(例:空調、照明)。オーナーが業者を決定し、テナントが費用を負担。
- C工事:内装や設備など完全にテナント専用の部分(例:床材、壁、配線など)。業者選定・発注・費用、すべてテナントが管理。
特にC工事は、テナント側で業者を自由に選べるため、費用を抑えるチャンスがある区分です。逆にB工事は、オーナー指定業者が絡むため、価格交渉がしづらいという特性があります。
原状回復工事の進め方|スムーズに進めるための5ステップ
オフィス退去が決まったら、原状回復工事に向けて以下の手順で進めましょう。
- 契約書の確認
まずは契約書の「原状回復義務」や工事範囲、スケジュール制約をしっかり把握。曖昧な点は不動産管理会社や専門家に確認を。 - 現地調査を依頼
オーナー指定業者、または自社で選定した業者に現地調査を依頼。建物の現況や劣化状態を確認してもらいます。 - 見積書・工程表の確認
見積もりと工事期間の案内を受け取り、費用や日程を検討。入居中の他のテナントへの影響も考慮しつつスケジューリングしましょう。 - 発注・着工
正式に発注したら、工事開始。途中の進捗確認もこまめに行うことで、トラブル防止になります。 - 引き渡し前の立ち会い
完了間際にオーナーと共に立ち会い、仕上がりを確認。ここでのズレが後の追加費用になることもあるため、丁寧なチェックが大切です。
原状回復工事の費用相場はどのくらい?
オフィスの広さや内装の状態により異なりますが、一般的な相場は以下の通り。
- 小規模オフィス(〜30坪):30,000〜50,000円/坪
- 中規模オフィス(30〜100坪):50,000〜70,000円/坪
- 大規模オフィス(100坪〜):70,000〜120,000円/坪
例えば100坪のオフィスで、1坪あたり70,000円なら、総額は700万円。ここで数万円単位で差が出るだけでも、総額で数十万円の違いが出てしまいます。
知っておいて損なし!費用を抑える5つのコツ
原状回復工事の費用を抑えるためには、ちょっとした工夫や事前準備がとても重要。以下のポイントを押さえておきましょう。
- C工事に切り替えられないか交渉する
B工事の見積が高額になりがちな場合、C工事扱いに変更できないかオーナーに相談しましょう。 - 相見積もりを取得する
自由に業者を選べる場合は、最低でも2〜3社から見積もりを取り、価格や提案を比較しましょう。 - 見積書をプロにチェックしてもらう
中には不必要な工事や過剰な単価が含まれているケースも。一級建築士などの専門家に確認を依頼すれば安心です。 - スケジュールに余裕を持つ
退去まで時間がないと、業者に急ぎ料金を請求されることも。余裕を持ったスケジュール管理で交渉力が高まります。 - 普段からメンテナンスを意識する
入居中に傷みを最小限に抑える工夫をしておけば、退去時の修繕費も大きく変わってきます。
注意点:時期と支払い条件にも気をつけよう
- 繁忙期を避ける
3月や9月は移転が集中するため、業者のスケジュールが取りづらく費用も割高に。余裕があれば6〜8月など閑散期を狙いましょう。 - 支払い条件の確認を忘れずに
業者によっては「着工前に全額支払い」などの条件がある場合も。契約前に明確にしておきましょう。
おわりに|原状回復をスムーズに、安心して任せるために
原状回復工事は、ただ元に戻すだけの作業ではありません。費用、スケジュール、契約条件など、事前に知っておきたいポイントがたくさんあります。
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